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2.Forming段階

アンカー 1

 以前のAちゃんは駅伝の選手に選ばれるほどの活発さがあり、勉強もよくできたという。しかし診察室ではほとんど母親が話すことが多く、時々Aちゃんに話を向けてもうなずく程度の反応しか示さなかった。

 母親によると、食事ではタンパク質と脂質を嫌う傾向があるとのことで、本人は排便が滞るとお腹が張るので食欲がなくなると言っているという。このことをAちゃん本人に確認するとうなずく反応。排便にストレスがあるのは確からしい。

 食事が話題に挙がるとAちゃんの言葉が一層少なくなる傾向も認めた。

 

 

★ELMOプログラムでのアプローチ

 

 

⑴ Ice-Breaking & De-inhibitizer

  羞恥心・恐怖・不安を取り除く。

  打ち解ける。

  自己認識を強く持たせる

 

 

⑵ Stress Management ;

          不適切なストレス(distress)を排除し現在の不安材料をU-stressにする

【参考】U-stess or Distress?

 

 

⑶ ELMOリーダーの顔;Manager & Entertainer

 状況を整理して適切な行動を指示 & 楽しませる、笑わせる

 

 

【実際の対応】

・姓ではなく、名前で呼ぶ(女の子なので、いきなり「ちゃん」づけ)

 

傾聴により、Aちゃんの僅かな言葉にも明瞭な反応を示す。こちらの問い掛けに言葉が出ない時は、発言の機会はいつでもあることを強調

 

・今の状況はまだ生命の危険にまでは至っていないが、このまま体重減少が進行すると危険な状態になると説明し、母親の心配は正論であることを理解してもらうよう努めた。その上で本人の問題意識を確認したところ、このままでは良くないことは自覚しているとのことであった

 

こちらからは食事については敢えて言及しない代わりに、体重減少が起こる鑑別疾患を挙げて必要な検査を適宜していく方針を説明し、いずれにせよ「必ず良くなる」ことを約束した。とりあえずは排便コントロールとして整腸剤と緩下剤を処方

 

・診察が終わる頃、最初に比べて患児の表情も柔らかい印象が出てきたので、最後におもむろに手品を見せると笑顔を見せた。

 

 

 

 

 Aちゃんの体重は横ばい~軽度減少で経過。原因疾患のスクリーニングも行ったが、いずれも正常範囲であった。年齢的にも神経性食思不振症が強く疑われたが、その時点では食の異常行動やBody-imageの異常などは認められなかった。

 排便コントロールは良好で、毎日の排便の悩みはほぼ解消されたとのことだが、母親によると食事量の改善は見られないとのことだった。再診後より、こういう母親に対してAちゃんから反論がでることが多くなり、自分なりに一生懸命食べているのに母親が理解してくれない旨の言葉を吐露するようになった。

 しかし詳しく聞いてみると、学校給食はほぼ完食する分、家での食事を減らしている傾向が認められた。

 

【実際の対応】

Aちゃんおよび母親に対する傾聴(感情を反映させ、とにかく聴くことに徹する)

 

・ストレスに配慮したフィードバック(一般論よりも主観を重点に置く。「みんなが言ってる」とか「常識」などという表現は用いず、「ボクはこう思う」という表現でフィードバックする

 

・食事以外の健康管理については日常習慣から詳細に生活指導。内服で排便ストレスがなくなったことにより、健康管理については素直にこちらの話を聞くようになっていた。

 

・「必ず良くなる」ことをその都度強調。診療の継続性を維持

 

・Aちゃんが手品を楽しみにしていたので毎回1コの手品を披露した

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