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アンカー 2

現実の臨床問題に対するELMO的アプローチの実際

 障がいも健常も区別しないということは大変難しいと感じます。全くの平等に扱えば、個々の能力差を無視し、ひいては人格を無視することになり、かえって不公平となってしまいます。

 そんな危険をはらんだグループで、メンバー個人個人を尊重した上で有意義な活動を行うためには何が必要でしょう。

 この答えは意外に単純で、必要なものは「リーダー」です。極論すれば、『良いリーダーがいれば良いグループワークができる』という単純思考ですが、ELMOプログラムにおいては、これはほぼ正論です。ELMOスタッフの定期的トレーニングでも「リーダー」について学ぶことが大半を占めており、ここで身につけたリーダー・スキルはELMOプログラム以外のフィールドでももちろん活用できます。

 

 このページでは、私のフィールドである臨床現場でのELMO的アプローチの実際を紹介しながら、ELMOプログラムにおけるリーダーの役割について概説します。臨床現場におけるグループワークというとチーム医療という言葉が想起されるかもしれませんが、ここでのグループの主体は受診者と家族であり、時々ソーシャルワーカーや教育関係者等がここに加わる時もあります。

 

注)かなり専門的な内容です。ELMOリーダーに関心がある方以外は、あまりオススメではありません

 

 

 

 

1.初診

アンカー 1

受診者は13歳女子中学生Aちゃん

 最近数ヶ月で急激に体重が減っていることを心配した母親に連れられて受診。

 Aちゃんは難しい年頃でもあり、診察室では無口な様子である。実際に1ヶ月に1kgのペースで体重が減っており、本人の外見上も著しい羸痩を認めている。母親によると食事量が極端に減っているとのこと。生理も止まっている。なぜ食べないのかと尋ねると、「食欲がないから」の一点張りである。学校所属のカウンセラーの面談も予定されていたが、Aが話すことはないといってキャンセルした。

 学校ではバスケットボール部に所属しており、部活もクラスも楽しくやっているという。体重減少は危険域(BMI<14)に差し掛かっており、母親が心配するように問題は切迫している状況である。

この問題に対してどのようにアプローチすべきか?

 

 

 

ELMO的アプローチの段階的戦略;

ELMOプログラムと同様で、基本は体験学習サイクルとグループダイナミクスです。以下に示す①から⑦の段階を踏んでアプローチします。

各段階で詳細な観察と評価が不可欠である

・誰が何を発言し、どのような行動をとったか?

・またそれに対して誰がどのように反応したか?

・現在解決すべき最優先事項は何か?

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